近年、一部の医学文献において、「ビタミンCがエラスチンの分解に関与する可能性」が示唆されています。
しかし、これだけでビタミンCを悪者扱いするのは早計かもしれません。誤解なく理解するためには、長年にわたる研究で明らかになっているビタミンCとコラーゲンやエラスチンとの関係と皮膚への作用ついて正しく読み解く必要があります。
🧬コラーゲン生成に欠かせないビタミンC
ビタミンCは皮膚のハリや弾力を支える「コラーゲン」の合成にあたり、不可欠な存在です。
コラーゲンとは、健康で若々しい肌を保つために不可欠な構造タンパク質であり、ビタミンCはこのコラーゲンの合成を助ける「補酵素」として肌の再生や修復をサポートする役割があります。つまり、ビタミンCはコラーゲンの生成を促進する物質であり、害を及ぼすことはありません。たとえば、紫外線やレーザー治療などでダメージを受けた肌は、回復の過程で新たなコラーゲンの生成が必要になります。そのような場面でも、ビタミンCは再生を支えてくれる心強い存在なのです。
🌞エラスチンとラジカルリッチな環境
「エラスチン」は、皮膚の弾力を担うもうひとつの重要なタンパク質です。
エラスチンは、紫外線や大気汚染などの外的刺激によって、「エラストーシス」と呼ばれる変性が進行するとされています。また皮膚は、大気汚染・タバコの煙・ストレスや睡眠不足・ブルーライトや可視光線により「ラジカルリッチな(=酸化ストレスが高い)環境」にさらされると、フリーラジカルとよばれる活性酸素が大量に発生します。フリーラジカルは、肌の細胞膜やDNA、コラーゲン・エラスチンを酸化させてダメージを与えるため、老化やシミ・たるみの原因になるとされています。またコラーゲンも同様に、フリーラジカルによって劣化が進行すると考えられています。
🛡️ビタミンCの抗酸化作用と皮膚保護
ビタミンCは強力な抗酸化物質として知られており、フリーラジカルを中和することで、コラーゲンとエラスチンの劣化を防ぐ働きを持っています。特にビタミンCを局所的に塗布することで、紫外線・ブルーライト・大気汚染などの外的ストレスから皮膚を肌を守る上で効果的とされています。このことからビタミンCは、ダメージを受けた皮膚の修復や再生を助けるだけでなく、構造タンパク質を酸化から守る働きもあるとされています。
🧪結論:ビタミンCはやはり、皮膚の味方
一部の研究で、ビタミンCのエラスチン分解に関与する可能性が示唆されていますが、ビタミンCが皮膚に悪影響を与えるという見解は、誤解に近いと考えられています。特に、紫外線による光老化や酸化ストレスの多い環境(ラジカルリッチな環境)にさらされている場合には、ビタミンCの補給が皮膚の健康維持に役立つ可能性が高いでしょう。